舞は終った 。 斬紅郎の亡骸を見下ろしながら 、 狂死郎は今までに無く興奮していた 「今こそ、‥‥今こそ世の民草に 我が舞、披露してくれようぞ!」 しばらく後、江戸の町ににぎやかな お囃子が響いていた 。 登り旗には「狂死郎 漢一代記」 と書いてあり、そこにはもう3日も 舞続ける狂死郎の姿があった 。 最初は物珍しく見ていた客もしだい に足が離れ、楽師も次々と倒れて ついには狂死郎1人となった 。 半年後、狂死郎の舞は終わった 。 その生涯は、まさに「狂死郎」の 名に恥じぬものであった 。