〜サヤプロローグ〜

 

 

河原で凛花が寝そべっている。

向こうの方から

金髪で美しい肢体の女が

歩いて来る。

凛花の頭上で立ち止まり

顔を覗き込む。

「ぁ〜あ、サヤ(沙耶)。

いい天気だから

寝ちゃったみたいだ」

軽く伸びする凛花の横に、

しなやかに身を横たえるサヤ。

優しく微笑みかけて、

「ゴメン。

起こす気はなかったんだけど。

でも、なんとなく逢いたくてネ」

寝ぼけ眼をこすりながら凛花が云う、

「えっ・・・ サヤが、アタシに?

・・・何?」

美しい青い瞳が

川面をぼんやりと見つめる。

凛花の返事にも、うわの空で、

「ちょっとね・・・」

曇りがちなサヤの表情を受けて、

敏感に反応する凛花。

そっと、凛花が

愛鼠の鉄之介を差し出すと

サヤの瞳から涙がつたった。

凛花の頭を抱き寄せるサヤ。

「どうしたの?・・・サヤ・・・

なにか辛い事あった?・・・」

頬を拭い立ち上がり、

凛花の側から距離をおいて

振り返り笑顔で云う。

「なんでもないわ・・・。

私情の絡んだ仕事が

舞い込んだから、

すこし迷ってただけ、

心配させて御免ネ。

この仕事終わったら

甘物屋へ行こう。おごっちゃう!」

サヤの後ろ姿に、

凛花は大人の女が背負う哀愁を、

垣間見たような気がした。

 

 

 

 

 

 

光の聖霊ナコルル