〜服部半蔵エンディング〜

 




半蔵

    主君に仇なす者、


    それがたとえ

    業魔の者であっても、


    我らが影、

    これを殲滅する。


    朧よ、


    我が名にどのような怨みを

    抱いていたかは、


    今となっては

    知る由も無いが・・


    道を誤ったと知れ。

 

伊賀忍者
    御屋形様!!

 

半蔵
    慈限大師殿のお姿、

    見つかったか?

 

伊賀忍者
    はっ!!


    この城の

    地下深くの石室にて、


    御姿を

    確認してございます。


    しかしながら・・・

    大師様、即身仏となりて


    朽ち果てておられました。

 

半蔵
    即身仏だと?・・・

    永遠の生とはこの事か。


    承知した。


    皆の者、大師殿の亡骸

    (なきがら)に柩をもて。


    これより江戸に帰還し、


    速やかに

    埋葬せねばならぬゆえ。

 

伊賀忍者
    御意。

 

半蔵
    幕府創成に関わりのある

    御坊が、


    主君に仇なす根源などと世

    に知られる訳にはゆかぬ。

 

伊賀忍者
    御屋形様、

    実はもう一つ奇妙な事が。

 

半蔵
    妙?

 

伊賀忍者
    はっ、それが大師様の

    お顔が・・・朽ちてなお


    妖しげに笑みを浮かべて

    おられるような・・・。

 

半蔵
    面妖な・・・

    恐るべきは慈限大師・・・。


    それほどまでに国家転覆を

    祈願なされておったとは。


    そのような亡骸など、


    主君にお見せする訳には

    ゆかぬ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

老中
    と、殿!!

    一大事でございます。

 

殿
    ・・・・・何事じゃ?

 

老中
    庭に奇怪なる物が!!

 

殿
    奇怪な物?

 

老中
    折れた三振りの刀と共に、

    柩のような物が・・・。

 

殿
    何!!柩じゃと・・・。

 

張り紙
    『御直御用の令、

     完了仕り候』


    『天下に仇なす三振りの刀

     全て折れ砕け候』


    『かくて、天人僧が亡骸

     納めし柩これにて候』

 


    『影』

 

殿
    『影』?・・・。

    半蔵ではないか!


    早くその柩を開けい!!

 

老中
    たっ、ただ今!!

 

殿
    何っ・・・?

    何だこれは・・・。


    何故、大師は

    背を向けておるのだ?

 

老中
    なんとも面妖な・・・

    殿!!


    背中に何か書き添えられて

    おりますれば・・・。

 

殿
    何々・・・

 

張り紙
    『大師殿、臨終の際主君に

     仇なした事を恥じ』


    『主君に顔向け出来ぬとの

     御遺言』


    『屍は何も語りませぬゆえ

     速やかに密葬されたし』

 

 

殿
    ・・・・・くっ・・・

    くくくくはははは


    半蔵めが、

    何と言う奴じゃ。


    何はともかく、

    鎮護国家は成った。


    天晴れじゃ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

半蔵
    皆の者、

    本当に良くやった。


    公方様もさぞ

    喜んでおられる事だろう。


    ご苦労であった。

 

伊賀忍者
    御屋形様!!

 

半蔵
    どうした?

 

伊賀忍者
    我ら影一同、

    御屋形様と共に!!

 

半蔵
    オヌシたち・・・。

    その言葉、この半蔵


    オヌシたちに義を以て

    代えさせてもらうぞ。

 

伊賀忍者
    はっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

謎の男
    真に影なるは、人知れず

    寄り添い守る者なり。


    真に影なるは、人知れず

    忍び生きる者なり。


    真に影なるは、人知れず

    老い朽ちる者なり。


    我もまた、

    忍ぶ道を歩んだ者なり。


    せがれよ、

    おまえの名は、服部半蔵。


    真に影を統べる者なり。

    ・・・よくやった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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